ELSI概念の再構築

ー研究概要ー

20世紀後半に科学や技術の倫理的・法的・社会的な課題(Ethical, Legal, and Social Issues、ELSI)という考え方が提案され、現在では生命科学をはじめとして、様々な分野でその取り組みがなされている。しかし、そのような取り組みは、本当に科学や技術の展開をより望ましい方向に導くという役割を果たせているだろうか。実際に研究に行う科学者や技術開発に従事する研究者は、ほとんどELSIの取り組みに参加していないだけでなく、そのような取り組みが自分たちの活動の妨げになると考えている場合さえもある。また、ELSIに関する取り組みが倫理や法律などの専門家に委ねられることで、「社会的」という部分が形骸化し、その内容が特定の課題(例えば、生命倫理や研究倫理)に集約されてしまうこともある。そのような状況からは、もともと科学や技術のガバナンスの手段として提案されたELSIについての取り組みが、いつのまにか目的にすり替わってしまっているのではないか、つまり、そのような取り組みによってどのような課題が明らかになり対応がなされるのかよりも、取り組みを行うこと自体に重きがおかれているのではないかという疑念を抱かざるを得ない。そして、もしそうだとすれば、私たちが望む社会の姿と科学や技術の発展に伴い変化する社会環境の間に生じる摩擦は今後ますます大きくなるだろう。そのようなことにならないために、今一度「ELSI」という考え方が意味するところを見つめ直し、その取り組みの適切な在り方を提示すること、これが本研究の目的である。

本研究はこの目的を達成するため、ELSIという概念の歴史的変遷についての調査やその適応範囲についての検討などを含めた理論的アプローチと、ゲノム医療や人工知能といった具体的な事例に関して様々なステークホルダーと協働する中でELSIの取り組みの適切な在り方を模索する実践的アプローチを組み合わせて進められる。初年度の活動としては、研究会を通じてこれまでのELSIの取り組みの問題を明確化し、それを踏まえた上でこれからのELSIの考え方について大枠を提示する計画である。

 

ー参加研究者ー

見上公一(東京大学・代表)・江間有沙(東京大学)・三成寿作(京都大学)・吉澤剛(大阪大学)

 

ー活動報告ー

2017.11.11  分子ロボットELSI研究会への参加(日本語は下部)

2017.11.15  2018年夏シドニーで開催の4SにOpen Panelが採択(英語のみ)

2017.12.27  第1回「ELSI概念の再構築」研究会を開催(日本語は下部)

2018.1.25    Governance of Emerging BioDesign Technologiesワークショップ(日本語は下部)

2018.2.13    第2回「ELSI概念の再構築」研究会を開催(日本語は下部)

2018.3.22    第3回「ELSI概念の再構築」研究会を開催(日本語は下部)

2018.4.12    第4回「ELSI概念の再構築」研究会を開催(日本語は下部)

セコム科学技術振興財団特定領域研究助成(ELSI分野)2017年度採択課題

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